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研究トピックス
2021/05/21 投稿

スピン流を超簡単にon/offスイッチング〜結晶を曲げるだけでトポロジカル相を自在に制御〜

東京大学物性研究所のChun Lin大学院生、野口亮大学院生(当時)、黒田健太助教、近藤猛准教授の研究グループは、大阪大学大学院理学研究科の越智正之准教授、北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門の丹田聡教授および迫田將仁助教、東京理科大学理学部第一部物理学科の野村温助教、学習院大学理学部物理学科の坪田雅功助教、東京大学大学院工学系研究科の有田亮太郎教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター チームリーダー)と共同で、擬一次元TaSe3(Ta:タンタル、Se:セレン)がスピン流を生成するトポロジカル絶縁体状態にあることを示すと共に、その結晶を少し歪ませるだけで、通常の絶縁体へと容易に変化させられることを見出しました。

スピン流の制御はスピントロニクスを確立する上での課題です。その手法として、トポロジカル絶縁体状態と通常絶縁体状態を行き来するトポロジカル相転移を用いる手法が期待されていましたが、両者を瞬時に切り替え制御する手法は確立していません。これまで、物質の一部の元素を置換することでトポロジカル相転移が生じることが実験的に示されていましたが、この手法では、応用に必要となる瞬間的なon/off制御は不可能です。本研究では、基板に試料を乗せ、それを少し曲げるだけの簡単な手法でトポロジカル相転移を生じさせ、スピン流をon/offスイッチングできることを初めて実証しました。

本成果は、2021年5月21日(金)午前0時(日本時間)に英国科学誌「Nature Materials」にオンライン掲載されました。

図: (上図) TaSe3は、鎖状の構造が積み重なって形成されるため、擬一次元的な結晶構造と電気伝導を示す。(左下図)外から歪みを加えない状態のTaSe3はトポロジカル絶縁体状態となり、結晶の表面にスピン流が生成されることが分かった。(右下図)基板に試料を乗せ、それをたわませると、赤い矢印方向に応力が印加され試料に歪みが生じる。その結果、TaSe3は通常の絶縁体となりスピン流が消失する。基板をたわませる・たわませないの簡単な操作で、スピン流のon/offスイッチングが可能となる。


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本件に関する問い合わせ先

<研究に関すること>
大阪大学 大学院理学研究科
准教授 越智 正之(おち まさゆき)
E-mail:ochi@phys.sci.osaka-u.ac.jp