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熱・エントロピー科学研究センター

エンタルピー・エントロピー等の精密測定と熱科学的研究を通した新物質、新現象の開拓

物質は原子、分子からなる凝集体です。その中では、個々の構成要素の量子力学的な性質が相互作用を通して組み合わさり、マクロな集団的な機能を形成しています。ミクロなエネルギー準位や分子の振動、回転、電子配置などからどのように物質全体のエネルギーが形成されるか?原子や分子のミクロな自由度は、それぞれバラバラに機能していくかの?あるいは秩序化していくのか?マクロな現象をそのミクロな起源と結び付けていくことは自然科学の重要な側面です。本施設は、エントロピー、エンタルピー等の熱力学的な量の精密な測定法の開発とそのダウンサイジング化、また様々な外的環境制御下で測定を行うことで、上記の視点に立って新物質の開発や新規現象の開拓を進めていく、国際的にも極めてユニークな特徴をもつ熱科学の基盤研究センターです。

本施設は、1979年に大阪大学理学研究科の附属施設としてできた化学熱学実験施設を母体に、ミクロ熱研究センター、分子熱力学研究センター、構造熱科学研究センターと10年ごとの改組を経て、2019年4月より熱・エントロピー科学研究センターとしてスタートしました。
(1)構造熱科学を基礎に分子レベルからのエントロピーを科学的に議論する分子エントロピー科学研究部門、(2)非平衡状態での物性、反応をとらえ自発的なエントロピー生成を計測する非平衡熱科学・ソフトマター研究部門、(3)微小スケール、特殊環境での熱測定開発、解析手法を開発していく微小スケール熱科学・ナノカロリメトリー開発部門、(4)生体物質、生命系の熱科学を進めるミクロ生物熱科学研究部門の4つの研究・開発部門と(5)国際連携部門を設置し、熱計測、熱力学量測定、熱移動計測を基礎にした先端的熱科学を進めています。
分子磁性体や分子性の超伝導体、スピンのクラスター、単分子磁石、液晶や柔粘性結晶・ガラスといった様々な分子凝集体の相挙動や機能、さらには蛋白質・酵素・核酸などの生体分子、高分子や溶液、ナノ構造体など様々な物質を対象にした熱科学を展開するとともに、国内外の多数の機関との共同研究を行っています。

左図:建屋遠景

中図:稼働中の断熱型熱量計

右図:生物熱量計