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先端強磁場科学研究センター

2つの超強磁場実験施設をもつ新設センター

 当センターの源流は伊達宗行本学名誉教授により昭和55年(1980年)に設置された理学部附属の超強磁場実験施設であります。その後、基礎工学部附属の超高圧実験施設や極限微細ビーム加工実験施設と統合して極限物質研究センターが昭和61年(1986年)に設立され、二度の改組を経て平成26年(2014年)3月に発展的に解消し、旧極限センターの超強磁場研究部門は理学研究科の協力の下、同年4月に理学研究科附属の新センターとして発足しました。平成28年度4月より東京大学物性研究所国際超強磁場科学研究施設と共にパルス強磁場コラボラトリーを形成し、この下で全国共同利用を開始しています。(共同利用の案内についてはこちら
 当センターには超強磁場第一(極限科学研究棟内)および第二(低温センター横)実験施設があり、最大蓄積エネルギーがそれぞれ10 MJ(メガジュール)および1.5 MJの大型コンデンサーバンクシステムを保有しています。この大型コンデンサーバンクシステムを利用して、非破壊型パルスマグネットによる50テスラを超す強磁場発生を可能にしています。第一実験施設における典型的な発生磁場のパルス幅は約35ミリ秒(ミッドパルス)であり、このパルス磁場を用いて高温超伝導体や重い電子系化合物などの伝導性試料について輸送現象測定や磁化測定が行われています。また、パルス強磁場とダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧力、および極低温を組み合わせた複合極限環境下物性測定技術の開発も行っています。将来的には、約100ミリ秒(ロングパルス)・最高 60 テスラの磁場発生が可能なパルスマグネットの開発も目指しています。一方、第二実験施設ではパルス幅が約7ミリ秒(ショートパルス)のパルス磁場を用いて、フラストレート磁性体や低次元磁性体などの絶縁体試料について電子スピン共鳴(ESR)測定が行われています。ESR測定においては、周波数6000 GHz、磁場65テスラの世界一広い観測窓を有しています。

非破壊型パルスマグネットの概略図とパルス磁場波形ESR測定における磁場と周波数の観測可能域

左図:非破壊型パルスマグネットの概略図とパルス磁場波形

右図:ESR測定における磁場と周波数の観測可能域