図:物質に外部から印加している磁場をΔhだけ増やすと、磁化がΔmだけ変化する。この過程が、量子力学的なクエンチ過程の場合(赤)と、断熱容器に入れた熱力学過程の場合(青)、そして、温度一定の熱力学過程の場合(緑)の、3つのケースについて、感受率Δm/Δhを比較した。
東京大学大学院総合文化研究科先進科学研究機構の千葉侑哉大学院生、清水明機構長、大阪大学全学教育推進機構(理学研究科兼務)の浅野建一教授は、ミクロな法則である量子力学と、マクロな法則である熱力学とを橋渡しする、新しい関係を理論的に発見しました。
まず、物質に磁場を突然かけたときに量子力学に従って磁化が誘起される程度を表す感受率が、かける磁場の波数の関数として不連続に飛ぶことを示しました。そして、この飛びの前後の値が、ゆっくり磁場をかけて熱力学に従って磁化が変化する場合に得られる二種類の感受率にそれぞれ等しくなることを発見しました。さらに、このように量子力学の結果と熱力学の結果が綺麗に整合するために物理系が満たすべき条件も明らかにしました。
これらは、ひとつの物質にミクロ法則とマクロ法則が矛盾なく成り立っている仕組みと関係を解明するための重要な一歩になるものです。
図:物質に外部から印加している磁場をΔhだけ増やすと、磁化がΔmだけ変化する。この過程が、量子力学的なクエンチ過程の場合(赤)と、断熱容器に入れた熱力学過程の場合(青)、そして、温度一定の熱力学過程の場合(緑)の、3つのケースについて、感受率Δm/Δhを比較した。
大阪大学 全学教育推進機構/大学院 理学研究科(兼務) 教授 浅野 建一(あさの けんいち)
TEL:06-6850-6955
E-mail:asano@celas.osaka-u.ac.jp