大阪大学大学院理学研究科の住貴宏教授らの研究グループは、米国カリフォルニア大学バークレー校、宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute:STScI、NASA、ワルシャワ大学などと共同で、単独で存在するブラックホールの候補天体を世界で初めて発見しました。この観測は、10年にわたる地上望遠鏡とNASAハッブル宇宙望遠鏡との共同観測で実現しました。これまで発見されたブラックホールは、銀河の中心にある超巨大ブラックホール以外では、全て伴星を伴う連星であり、伴星を伴わない単独で存在するブラックホールは発見されていませんでした。
今回、住教授らの研究グループは、その強い重力場による空間の歪みのために、遠くの星がゆがんで明るくなり、位置がずれて見える、重力マイクロレンズ現象を利用することにより、単独で存在するブラックホールの候補を発見しました。このようなコンパクトな高密度天体が天の川銀河にどれくらい存在するのかを明らかにすることは、星の進化、特に星の死に方、そして銀河系の進化を理解するのに役立ちます。また、一部の宇宙理論研究者が提唱する、ビッグバンで大量に作られたと考えている原始ブラックホールの存在量を明らかにできるかもしれません。
本研究成果は、米国科学誌「The Astrophysical Journal」および、「The Astrophysical Journal Letters」に、掲載が決定しました。
本研究成果について、6月10日(金)午後11時(日本時間)から米国カリフォルニア大学バークレー校、宇宙望遠鏡科学研究所、ワルシャワ大学にてプレスリリースが行われました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
教授 住 貴宏(すみ たかひろ)
TEL:06-6850-5503 FAX: 06-6850-5480
E-mail: sumi@ess.sci.osaka-u.ac.jp