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研究トピックス
2021/07/28 投稿

リング状タンパク質PCNAのユビキチン化により染色体異常が起きることを発見 ―がん等の遺伝性疾患の治療薬開発に期待―

大阪大学大学院理学研究科の中川拓郎准教授と大学院生の蘇傑(スージェ)さん(博士後期課程)らの研究グループは、ユビキチン化酵素Rad8によるPCNAタンパク質のユビキチン化が染色体異常を誘発することを世界で初めて示しました。

DNA相同組換えが正常に機能しないと、染色体異常が発生し、様々な遺伝性疾患が生じます。しかし、遺伝性疾患の直接的原因である染色体異常が、どのようにして起きるのかは不明です。

今回、本研究グループは、分裂酵母を用いて染色体異常の発生頻度を解析することで、ユビキチン化酵素Rad8によるPCNAタンパク質のリシン107のユビキチン化が染色体異常を誘発することを明らかにしました。今回の研究から、PCNAはDNA複製、修復、組換えだけでなく染色体異常の発生にも関与することが分かりました。これにより、染色体異常により誘発されるガンなどの遺伝性疾患の治療薬の開発が期待されます。

本研究成果は、オープンアクセスの国際科学誌「PLOS Genetics」に、7月23日(金)午前3時(日本時間)に公開されました。

図:PCNA3量体はリング構造を形成する。リシン107(K107)はPCNA-PCNA間の相互作用部位に位置する。


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本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻
准教授 中川 拓郎(なかがわ たくろう)
TEL:06-6850-5432
E-mail: takuro4@bio.osaka-u.ac.jp