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研究トピックス
2021/04/23 投稿

物理であばいた細胞内の秘密 RNAによる核内構造体形成の新たなしくみを発見―細胞内の相分離、ミセル化が鍵?―

大阪大学大学院生命機能研究科の山崎智弘 特任講師(常勤)、廣瀬哲郎教授(大学院理学研究科 兼任)らの研究グループは、核内の非膜性構造体であるパラスペックルがブロック共重合体により形成される高分子ミセルであることを世界で初めて明らかにしました。これにより、RNA-タンパク質複合体がブロック共重合体として振る舞い、様々な形態を作りうる可能性を示しました。

これまでパラスペックルは、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)分子を骨格として形成されるユニークな特徴をもち、癌やウイルス感染などの疾患や妊娠の確立などにおいて、重要な役割を果たすことがわかっていましたが、その機能を担うパラスペックルの特徴的な形態や内部構造が作られるメカニズムは解明されていませんでした。

今回、本研究グループは、物理理論を取り入れた解析により、非膜性構造体パラスペックルはブロック共重合体ミセルとして形成されることを解明しました。この研究により、RNA-タンパク質複合体がブロック共重合体として働くという新たな概念を提唱し、パラスペックルが相分離の一種であるミセル化により、ブロック共重合体の疎水性領域の自己集合を介して形成されることを明らかにしました。今後、相分離研究における構造形成機構や機能発現メカニズムの解明ならびlncRNAの作用機構の理解、さらに機能性の人工細胞内構造体の設計につながることが期待されます。

図:非膜性構造体パラスペックルのブロック共重合体ミセルモデル


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本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院生命機能研究科 (大学院理学研究科兼任)
教授 廣瀬 哲郎(ひろせ てつろう)
TEL:06-6879-4674 FAX: 06-6879-7965
E-mail: hirose@fbs.osaka-u.ac.jp