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研究トピックス
2021/02/26 投稿

体内時計を用いて季節に応答する脳神経細胞を発見―季節に伴う日の長さの変化を細胞レベルで感知―

大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻の長谷部政治助教と志賀向子教授は、昆虫において、私たちヒトの視床下部に相当する脳間部の細胞が、概日時計遺伝子の働きにより神経活動を調節することで季節応答することを世界で初めて明らかにしました。

動物は季節変化に適応するために、季節ごとの日長に応じて体内の生理状態や行動を調節しています。この日長の読み取りには、体内で約24時間周期のリズムを作る体内時計:概日時計が重要であると考えられています。しかし、この概日時計に基づいて、細胞内でどのような季節応答が起きるのかについての解析は進んでいませんでした。

今回、長谷部助教と志賀教授は、昆虫カメムシにおいて、産卵を促進する脳間部の神経細胞が日長に応じてその活動を劇的に変化させ、その日長応答には概日時計遺伝子が必要不可欠であることを明らかにしました(図)。季節に伴う日長応答は昆虫に限らず、ヒトが属する哺乳類まで広く見られます。本研究で用いた従来の細胞解析に分子遺伝学手法を組み合わせた手法を応用することで、未だブラックボックスになっている概日時計に基づいた神経細胞による季節応答の仕組みの理解が進むことが期待されます。

本研究成果は、米国科学誌「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」に、2月23日(火)午前5時(日本時間)に公開されました。

図:産卵を促進する脳間部の神経細胞の活動は、日の長さによって劇的に変化して、その日長応答には概日時計遺伝子が必要


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本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻
助教 長谷部 政治(はせべ まさはる)
TEL:06-6850-5422 FAX: 06-6850-6769
E-mail: h.masaharu@bio.sci.osaka-u.ac.jp