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研究トピックス
2021/01/13 投稿

難治性がんをアルファ線で内部から攻撃―がん細胞型アミノ酸トランスポーターを標的とする放射線療法―

大阪大学放射線科学基盤機構の兼田(中島)加珠子特任准教授(常勤)(放射線科学部門)、深瀬浩一教授(理学研究科 化学専攻)らの研究チームは、がん細胞型アミノ酸トランスポーターLAT1をターゲットとした新たなアルファ線治療薬(アスタチン標識アルファメチルチロシン: [At-211]AAMT)の開発に成功しました。

LAT1 はがん特異的に発現するアミノ酸トランスポーターです。その機能を阻害することで抗腫瘍効果を持つことが知られていましたが、LAT1 を標的とする核医学治療薬の開発は進んでいませんでした。

今回、開発した治療薬を膵臓がんのモデルマウスに投与したところ、腫瘍への選択的集積ならびに増殖抑制効果が確認されました(図)。治療薬はアミノ酸トランスポーターLAT1 を介してがん特異的にデリバリーされることが分かりました。つまり、本治療薬はがん細胞に栄養分として取り込まれた後、細胞内部からがんを攻撃することができます。これにより、難治性の膵臓がんのみならず、治療薬のない様々ながんに対する画期的な治療法になることが期待されます。本治療薬は放射線科学基盤機構を中心とした阪大の各部局の連携によるオール阪大チームで開発されました。

本研究成果は、米国科学誌「Cancer Science」に、2020年12月5日(日本時間)に公開されました。

図:[At-211] AAMTの投与後の増殖抑制効果(左)と膵臓がんモデルマウスにおける[At-211]AAMTの腫瘍(矢印)への集積画像(右)


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本件に関する問い合わせ先

大阪大学 放射線科学基盤機構 放射線科学部門 特任准教授(常勤)/大学院 理学研究科(兼任)
兼田(中島) 加珠子(かねだ-なかしま かずこ)
TEL:06-6850-8271 FAX: 06-6850-8230
E-mail: kkaneda@irs.osaka-u.ac.jp