北里大学理学部化学科の長谷川真士講師、佐藤賢太大学院生、真崎康博教授と近畿大学理工学部応用化学科の今井喜胤准教授、および大阪大学大学院理学研究科化学専攻の西内智彦助教の研究グループは発光特性に優れたオリゴフェニレンを「らせん状にねじって輪にする」という単純な設計でヘリカルな不斉構造を導き、強い円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence: CPL)を示す緑色蛍光色素の開発に成功しました【図】。新しく合成したこの分子は、鮮やかな緑色蛍光発光を示し、ヘリカルな不斉構造に由来した顕著なCPLを示します。特にポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を用いて作成した薄膜ではより強く発光することがわかりました。今回の発見により、CPLを示す蛍光色素材料を用いた円偏光有機EL材料への展開が可能となり、円偏光を利用した三次元表示ディスプレイの開発が加速します。

本研究成果は、2020年10月20日に欧州化学誌「Chemistry – A European Journal」電子版に掲載され、Hot PaperならびにFront Cover(表紙)に採用されました。

図：(a)開発した分子の構造、(左: (S)-体、右: (R)-体、らせん状の矢印は円偏光発光を表す)
(b)オリゴフェニレンの構造と、それをねじった構造及び輪にした構造

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〈共同リリース機関HP〉