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研究トピックス
2020/12/01 投稿

発光イメージングを用いてミュオンビームの分布計測に成功:ビームの精度管理や素粒子研究への応用に期待

名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の山本 誠一 教授、平野 祥之 准教授、大阪大学大学院理学研究科化学専攻の二宮 和彦 助教、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の河村 成肇 特別准教授の研究グループは、発光イメージングを用いてミュオンビームの分布計測に成功しました。

ミュオンは素粒子の一つで、加速器で大量に発生させることにより、超伝導物質の性質解明、考古物への元素分析など様々な分野で利用されています。このような利用研究を一層進めるには、ミュオンのビームがどのような強度や分布で飛来しているのかをモニターすることが必要です。これまでミュオンビームや、崩壊して生成される陽電子のモニター方法は限られていましたが、ミュオンビームをイメージング技術の応用により可視化することができれば、ビームのエネルギーやその広がり、ビーム幅など多くの情報を簡便に得られる可能性があります。

正電荷のミュオンビームを水に照射すると陽電子によるチェレンコフ光を発生させることができます。研究グループは、高感度CCDカメラを用いてそのイメージングを試みました。その結果、楕円形に分布する鮮明なチェレンコフ光画像を得ることに世界で初めて成功しました。またプラスチックシンチレータにミュオンビームを照射しながら撮像したところ、崩壊前のミュオンビームの分布をイメージングすることにも成功しました。これらの画像から、ビームのエネルギーや、その広がり、幅など多くのビームに関する情報が得られることが確認できました。この技術は今後、ミュオンビームの精度管理や素粒子研究など幅広い分野への応用が期待されます。

本研究成果は、2020年11月26日付オンライン科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

図:ミュオンビームイメージング法の概略図:側面図(左)と正面図(右)


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〈共同リリース機関HP〉

高エネルギー加速器研究機構
https://www.kek.jp/ja/press/pr20201130/
本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 化学専攻
助教 二宮 和彦(にのみや かずひこ)
TEL:06-6850-5416  FAX:06-6850-6999
E-mail: ninokazu@chem.sci.osaka-u.ac.jp