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研究トピックス
2020/11/24 投稿

環境変化に応じて遺伝子が空間配置を変化させ発現をONにする仕組みの解明

遺伝子は3次元的にDNAがパッケージングされた細胞核内で、空間に配置されています。そのため、遺伝子が細胞核内の3次元的配置を変化させて、遺伝子発現のON/OFFを調節することが知られていましたが、その詳細なメカニズムは不明なままでした。

大阪大学大学院理学研究科の坂本勇貴助教と東京大学大学院新領域創成科学研究科の松永幸大教授らは、CRWNが長年不明であった植物の細胞核を裏打ちするタンパク質であることを証明しました。さらに、銅環境の変化に合わせて銅関連遺伝子の空間配置が変化し、銅関連遺伝子がCRWNに結合することで遺伝子の発現がONになることを明らかにしました。最新のイメージング技術や生化学的手法を用いることで、外部環境の変化に応じて遺伝子の空間配置を変化させる分子メカニズムが明らかになりました。この研究成果は、空間的な遺伝子発現制御メカニズム研究の扉を開くとともに、遺伝子の空間配置を人為的に制御することで、環境変化に強い生物種を創り出す新しい分子育種技術の開発に貢献すると期待されます。

本研究は、文部科学省科学研究費・新学術領域「植物の成長可塑性を支える環境認識と記憶の自律分散型統御システム」(15H05955、15H05962)、「先端バイオイメージング支援プラットフォーム」(16H06280)、若手研究(18K14743)、基盤研究B(19H03259)、三菱財団自然研究科学研究助成、ノバルティス科学振興財団研究奨励金、笹川科学研究助成などのもとで実施されました。

図:超解像顕微鏡により明らかになった核膜におけるCRWNタンパク質の局在
左の写真はシロイヌナズナの細胞核を示す。CRWNに蛍光タンパク質を繋ぎ、蛍光タンパク質に対して免疫染色を行い、超解像顕微鏡でSTED像を得ると、右の写真のようにCRWNはメッシュ状構造をとっていることがわかる。左と右のスケールバーは5μmと 1μmを示す。


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〈共同リリース機関HP〉

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻
助教 坂本 勇貴(さかもと ゆうき)
TEL:06-6850-6765
E-mail: yuki_sakamoto@bio.sci.osaka-u.ac.jp