図 動物行動のデータからの行動状態の推定
小型で安価なGPS装置やビデオカメラなどによって人や動物の行動の記録は極めて簡単になりました。しかし、それらの行動記録から「なぜそのように行動したのか?」を推測することは困難です。
今回、名古屋市立大学と大阪大学などの共同研究チームとして、山崎修平特任研究員(大阪大および名市大)、前川卓也准教授(大阪大)、木村幸太郎教授(名市大および大阪大)らは、動物行動の特徴を理解するためのハイブリッド型人工知能技術STEFTR(ステフター)法を開発しました。この手法により、シャーレの中を10分で1cm程度だけ移動する線虫も、南極海を1日以上掛けて数キロメートル移動するペンギンも、全く同様に解析してそれぞれの行動状態を90%以上の確率で正しく推定することに成功しました。さらに、実験室内の線虫、ショウジョウバエ、コウモリなどから、学習やフェロモンの経験によって引き起こされた行動の変化を発見し、線虫からは行動変化に関連する神経活動変化も発見しました。
この研究成果により、野外動物の移動データから巣や餌場のような「重要な場所」がより容易に推測できること、また実験室内での動物の行動データから重要な脳活動が発見されることなどが期待できます。
本研究の成果は、日本時間2019年6月28日(金曜日)に、英文生命科学雑誌「Frontiers in Neuroscience」においてオンライン公開されました。
図 動物行動のデータからの行動状態の推定
名古屋市立大学大学院 システム自然科学研究科 教授/大阪大学大学院理学研究科 生物科学専攻 招へい教員
木村 幸太郎(きむら こうたろう)
TEL: 052-872-5016
Email: kokimura@nsc.nagoya-cu.ac.jp