1. HOME >
  2. 研究トピックス >
  3. 放射性微粒子に含まれる極微量プルトニウムを分析 ―原子炉から放出の微粒子分析による原発事故状況の解明へ期待―
研究トピックス
2019/08/14 投稿

放射性微粒子に含まれる極微量プルトニウムを分析 ―原子炉から放出の微粒子分析による原発事故状況の解明へ期待―

篠原厚教授(大阪大学大学院理学研究科)と二宮和彦助教(大阪大学大学院理学研究科)は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)量子医学・医療部門高度被ばく医療センター福島再生支援研究部の鄭建上席研究員らの研究グループ、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)福島研究開発部門廃炉国際共同研究センターの佐藤志彦研究員と共同で、東京電力ホールディングス株式会社(TEPCO)福島第一原子力発電所(福島原発)事故により放出された極微量のプルトニウムを含む放射性微粒子を定量し発生源を明らかにしました。
2011年3月に起こった東日本大震災により、TEPCO福島原発事故が起こりました。この事故で、多くの放射性物質が環境中に放出されました。放射性物質の一部は、事故時に原子炉内で生成した放射性微粒子が環境中に放出されたことが知られています。これら微粒子の性質は世界的な関心を集め、様々な研究機関などで分析されてきましたが、原発事故で重要視されている元素である、プルトニウムは見つかっていませんでした。これは微粒子に含まれているプルトニウムが極めて微量であることが原因でした。
今回、篠原教授らの研究グループでは、放射化学的な手法を用いて、放射性微粒子に微量に含まれる放射性同位元素の分析を実施しました。今回、超高感度の質量分析装置を用いることで、放射性微粒子に含まれる極微量のプルトニウムを検出することに成功しました(図)。これにより、放射性微粒子が生成したときの原子炉内の状況を明らかにすることが期待されます。そしてこれからの福島原発の廃炉作業にも有用な情報をもたらすと期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、8月14日(水)にオンライン公開されました。

(図)本研究で初めてプルトニウムを検出した放射性微粒子の電子顕微鏡像とその放射能


Related links

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 助教 二宮和彦(にのみや かずひこ)
TEL:06-6850-5416  FAX: 06-6850-6999
E-mail: ninokazu@chem.sci.osaka-u.ac.jp