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研究トピックス
2019/04/29 投稿

断層の動力学解析により東北地方太平洋沖地震でプレート境界が大規模に滑った原因を特定

大阪大学大学院理学研究科の廣野哲朗准教授らの研究グループは、2011年東北地方太平洋沖地震で観測された日本海溝のプレート境界の大規模滑りの原因の特定に世界で初めて成功しました。
これまで東北地方太平洋沖地震の発生時、日本海溝軸付近まで破壊が伝搬したプレート境界断層がなぜ大規模に滑ったのか、という原因については、断層が強度の弱い粘土鉱物(スメクタイト)から構成されることと、地震時の摩擦発熱により流体の圧力が増加し摩擦力(剪断抵抗)が低下する効果(サーマルプレッシャライザーション)の2つの説があり、どちらが主因であるのか解明されていませんでした。
今回、廣野准教授らの研究グループは、地球深部探査船「ちきゅう」で採取された日本海溝のプレート境界断層の試料分析値において、サーマルプレッシャライザーションが機能した場合の摩擦係数と機能しなかった場合の摩擦係数を用いて、プレート境界断層での破壊伝播の動力学解析を実施することにより、主因がサーマルプレッシャライゼーションであることを特定しました(図)。
さらに、本研究では、断層の摩擦特性を室内実験で分析し、その実験値をもとに動力学解析を実施することによって、地震時に断層が滑りうるポテンシャルおよび断層から発生する地震波特性を評価する手法を確立しました。
本研究成果は、Springer Nature社が刊行するオープンアクセスジャーナル「Scientific Reports」に、4月29日(月)18時(日本時間)に公開されました。

図 動力学解析によるプレート境界断層の滑り量の時間発展

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科
准教授 廣野 哲朗(ひろの てつろう)
E-mail: hirono@ess.sci.osaka-u.ac.jp
専門分野:地震断層学