図1.アスタチン製剤の投与による腫瘍縮小効果(左)と腫瘍モデルマウスにおける腫瘍への高集積画像(右)
大阪大学 大学院医学系研究科の渡部 直史 助教、畑澤 順 教授(核医学)、大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター医理連携教育研究拠点の兼田 加珠子 特任助教(常勤)(現:大阪大学放射線科学基盤機構 特任准教授(常勤)、大学院理学研究科の篠原 厚 教授らの研究グループは、本学核物理研究センターの加速器ならびに同放射線科学基盤機構の設備を利用して、高エネルギー粒子であるアルファ線を放出する注射薬(アスタチン化ナトリウム([At-211] NaAt))の製造に成功しました。これまで、主にベータ線という放射線を用いて、がんに対する治療が行われてきましたが、十分な治療効果が得られないことがありました。
今回、開発したアスタチン製剤を分化型甲状腺がんのモデルマウスに投与したところ、著明な腫瘍退縮効果が確認されました(図1)。今後、多発転移のある進行甲状腺がんにおける画期的な治療法となることが期待されます。現在、大阪大学医学部附属病院での医師主導治験に向けて、準備が進められています。
本研究成果は、米国科学誌「Journal of Nuclear Medicine」に、2月22日に公開されました。
図1.アスタチン製剤の投与による腫瘍縮小効果(左)と腫瘍モデルマウスにおける腫瘍への高集積画像(右)
大阪大学 大学院理学研究科
教授 篠原 厚(しのはら あつし)
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