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研究トピックス
2019/03/28 投稿

アルマ望遠鏡で迫る大質量連星系の起源-誕生のダイナミクスを解明-

理化学研究所(理研)開拓研究本部坂井星・惑星形成研究室のイーチェン・チャン基礎科学特別研究員、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻の田中圭特任研究員(常勤)(国立天文台)らの国際共同研究グループは、「アルマ望遠鏡」を用いて、形成段階にある「大質量星の連星系」を発見し、その公転運動の解明に成功しました。
本研究成果は、誕生時の大質量連星系のダイナミクスを明らかにした初めての例であり、今後、まだ謎の多い大質量連星系の誕生過程を調べる鍵となることが期待できます。
大質量星は太陽の8倍以上の質量を持つ恒星のことで、そのほとんどは連星系として存在しています。大質量星は、高密度なガス雲が重力的に収縮することで生まれると考えられていますが、その誕生過程は、分厚いガスの雲に覆われているため観測が困難だとされてきました。
今回、国際共同研究グループは、最先端のアルマ望遠鏡を駆使することで、今まさに形成中である二つの若い大質量原始星から構成される大質量連星系を発見しました。観測結果の詳しい解析から、二つの原始星の合計質量は太陽質量の18倍以上で、お互いを公転する周期は600年以下であることを明らかにしました。さらに、連星周囲のガス降着流構造から、先に生まれた主星に付随するガス円盤が分裂することで伴星が誕生した可能性が高いことを示しました。
本研究は、英国の科学雑誌『Nature Astronomy』のオンライン版(3月18日付け:日本時間3月19日)に掲載されました。

図 発見された誕生中の大質量連星系(右)とその母体となるガス雲(左)

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 
特任研究員(常勤) 田中 圭(たなか けい)
(国立天文台 アルマプロジェクト)
TEL:06-6850-5482
E-mail:ktanaka@astro-osaka.jp