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研究トピックス
2018/07/13 投稿

カーボンナノチューブと分子の乱雑ネットワークが神経様スパイク発火を可能に―ナノ材料で脳機能の一部を再現―

田中啓文(九州工業大学大学院生命体工学研究科教授) 及び小川琢治(大阪大学大学院理学研究科教授)は、カーボンナノチューブ(CNT)とポリオキソメタレート分子(POM)の高密度ネットワークデバイスを作製し、神経細胞(ニューロン) のスパイク発火に似たインパルス状の信号を発生させることに成功しました。また、赤井恵(大阪大学大学院工学研究科助教)及び浅井哲也(北海道大学大学院情報科学研究科教授)らのグループとの共同研究において、特殊な電荷貯め込み特性を持ったランダムネットワークモデルのシミュレーション計算からスパイク発火の機構を提案し、これらの機能が未来の人工知能や超高速計算をもたらすニューロモルフィックデバイスを構成する材料として期待出来ることを示しました。
脳の構造や機能を真似た回路網を人工的に再現しようとするニューロモルフィックチップの開発において、自発的なスパイク信号の発生とその伝達の機能はまだ十分利用されていませんでした。本研究の結果は、ナノ分子材料によって小型の自発的スパイク信号を発生する独立デバイスの作製を可能にしただけでなく、分子を繋ぐ乱雑なネットワーク自体が脳型人工知能となる可能性を示しており、ニューロモルフィック工学分野の発展に大きく寄与することが期待出来ます。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、2018年7 月12日(木)18 時(日本時間)に公開されます。

図1 POM/CNT複合ネットワークから発生する神経様スパイク信号

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 
教授 小川 琢治(おがわ たくじ)
E-mail:ogawa@chem.sci.osaka-u.ac.jp
TEL:06-6850-5392