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研究トピックス
2018/02/15 投稿

明滅するオーロラの起源をERG(あらせ)衛星が解明-宇宙のコーラスにあわせて密かに揺れる電子の挙動がつまびらかに-

高緯度地方の夜空を覆うオーロラ嵐は、磁気圏に蓄えられた太陽風のエネルギーが急激に解放されることで生じる現象です。典型的なオーロラ嵐では、よく知られたカーテン状の明るいオーロラに加えて、淡く明滅する斑点状のオーロラ(脈動オーロラ、 pulsating aurora)が現れて舞い乱れます。この明滅するオーロラは、磁気圏の高エネルギー電子が高度100km程度の上層大気に向けて降ったり止んだりすることで生じていますが、その間欠的な降り込みを起こす物理プロセスを観測的に捉えることは、これまで非常に困難でした。今回、東京大学大学院理学系研究科の笠原慧准教授をはじめとする研究チームは、2017年に観測を開始したJAXAのジオスペース探査衛星ERG(あらせ)の電子・プラズマ波動データを解析し、明滅するオーロラの源たる物理プロセスの同定に成功しました(図1)。これまでにない高精度で磁気圏の電子の分布を計測することにより、磁気圏内を往復運動する電子がプラズマ波動によって揺さぶられ地球の大気に向けて降り注いでいくという物理プロセスが、明瞭に示されました。電子の降り込みがいつ、どこで起きるかを、今後さらに詳細に調べることは、オーロラの多様性を理解するうえで非常に重要な情報となるとともに、宇宙空間で普遍的に起きているプラズマ波動と電子の相互作用の詳細な理解につながります。

図1 明滅するオーロラの起源をERG(あらせ)衛星のプラズマ観測で解明

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻
准教授 横田 勝一郎(よこた しょういちろう)
TEL:06-6850-5496 E-mail:yokota@ess.sci.osaka-u.ac.jp