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研究トピックス
2017/06/22 投稿

邪魔者ノイズを一分子計測に利用―”自然界の揺らぎ”を利用した生体模倣デバイス開発への応用に期待―

赤井恵(大阪大学大学院工学研究科助教)及び桑原裕司(同工学研究科教授)らは、松本和彦(同産業科学研究所教授)及び小川琢治(同理学研究科教授)、葛西誠也(北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター教授)らの研究グループとの共同研究において、単一の単層カーボンナノチューブ素子に、あえて異物である大きな酸化還元活性を持つ有機分子を導入して素子雑音を発生させ、分子種毎に特性周波数をもつ雑音が発生することを発見しました。また、素子内の分子がたった一つであった場合、発生した雑音は2つの電流値を遷移するテレグラフ状の信号を示し、この2状態遷移が分子の酸化・還元状態の移り変わりを反映している(図)ことを明らかにしました。
本研究成果により、これまで不可能と考えられていた一分子の電気化学反応計測が室温大気下で可能であることが示されました。また、雑音は電子デバイスの邪魔者ですが、生体内での雑音や揺らぎをうまく利用した情報の検出や伝達の仕組みが最近解明され始めており、雑音源としての分子の役割を明らかにしたことで、今後の生体機能模倣素子開発における応用が期待されます。
本研究成果は、英国化学会誌「Nanoscale」に、2017年6月15日(木)(日本時間)に公開されました。

図 分子一個から発生するテレグラフ雑音

本件に関する問い合わせ先

赤井 恵 ( Megumi Akai-Kasaya)
大阪大学 大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 精密科学講座 助教 
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1 M1棟628号室
Email: kasaya@prec.eng.osaka-u.ac.jp
TEL: 06-6879-7299   FAX : 06-6879-7299