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研究トピックス
2017/01/25 投稿

104番元素ラザホージウムの化学平衡を観測 ~超重元素の化学的性質を解明する新たな化学実験手法に期待!~

大阪大学大学院理学研究科の笠松良崇講師、篠原厚教授と理化学研究所仁科加速器研究センターの羽場宏光チームリーダーらの研究グループは、原子番号の大きな、人類にとって比較的新しい元素、超重元素のひとつである104番元素ラザホージウム(Rf)の抽出反応において、初めてその時間依存性を観測し、化学平衡の到達を観測しました。この結果、Rfの塩化物錯体の形成について新しい知見を得ることができました。
これまで、短寿命な超重元素の溶液化学において、化学平衡下の抽出挙動を観測することは難しく、錯体の安定性等の議論にまで至ることが困難でした。
今回、笠松、羽場らの研究グループは、バッチ型の加速器オンラン固液抽出装置を開発し、大強度重イオン加速器を擁する理化学研究所仁科加速器研究センターでRfの抽出実験を実施しました。化学平衡下の分配係数を取得し、その塩化物錯体の形成が周期表の同族元素とは異なることを明らかにしました。
人類が発見した元素の中で、超重元素の化学的性質を調べることは非常に難しく、ほとんど未知の状態です。今回新しく開発した手法・装置で、Rfやさらに重い超重元素の化学的性質を解き明かすことができると期待できます。
本研究成果は、2016年11月29日(火)に英国科学誌「Dalton Transactions」に掲載されました。

research20170125

2017年1月現在の周期表とRfの抽出率の時間依存性

本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科化学専攻
講師 笠松 良崇(かさまつ よしたか)
E-mail:kasa@chem.sci.osaka-u.ac.jp