ワカレオタマボヤの成体
大阪大学大学院理学研究科の 表迫 竜也 研究員、小沼 健 助教、西田 宏記 教授の研究チームは、脊索動物ワカレオタマボヤにDNAの断片配列を導入することによりウイルス等から細胞を守るために、導入された遺伝子の働きを特異的に抑える仕組みを発見しました。この現象はDNA interference(DNAi)と呼ばれ、今まで植物や古細菌等の一部の生物でしか確認されておらず、多細胞動物では研究が行われていなかったため、その仕組みは全く分かっていませんでした。
今回、多細胞動物において初となるDNAiの例を発見したことにより、生物がウイルス等の侵入からどのように守っているのかというような、動物の外来遺伝子に対する防御システムの進化に新しい視点が開かれることが期待されます。また、DNAi法を利用することにより、容易に遺伝子の機能を解析することが可能となり、様々な発生現象の研究の加速に繋がることも期待されます。
なお、本研究成果は5月22日に英国生物学専門誌「Proceedings of the Royal Society of London B」に掲載されます。(オンライン版については4月22日(水)に掲載されております)
ワカレオタマボヤの成体
西田 宏記(にしだ ひろき)
大阪大学大学院理学研究科
生物科学専攻 発生生物学研究室
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