1. HOME >
  2. 研究トピックス >
  3. 水で脂肪を“あいまい”に見分けていた! ―タンパク質による脂質認識の新しいメカニズムを解明―
研究トピックス
2015/01/20 投稿

水で脂肪を“あいまい”に見分けていた! ―タンパク質による脂質認識の新しいメカニズムを解明―

大阪大学大学院理学研究科の松岡茂特任准教授、杉山成特任准教授、村田道雄教授らの研究グループは、脂肪酸結合タンパク質が、水分子を巧みに利用して、水に溶けないひも状分子である脂肪酸の長さを見分けるしくみを明らかにしました。

脂肪酸結合タンパク質は、細胞内の脂肪酸を運ぶトラックのような分子で、有酸素運動の燃料や炎症メディエーターの原料となる脂肪酸を細胞小器官に輸送します。今回、心臓型脂肪酸結合タンパク質が、細胞内の様々な長さの脂肪酸から特定の一種類を選ぶのではなく、エネルギー生産の燃料となる複数種類の脂肪酸をグループとして見分ける“あいまい認識”をすることが初めて分かりました。この成果は、メタボリックシンドロームや統合失調など脂肪酸が関与する疾患の分子メカニズムの解明につながると期待されます。

本研究成果は、ドイツの科学雑誌『Angewandte Chemie International Edition』に掲載されるに先立ち、2014年12月9日付でオンライン版として公開されました。

ヒト心臓型脂肪酸結合タンパク質(FABP3)の分子構造

ヒト心臓型脂肪酸結合タンパク質(FABP3)の分子構造.
FABP3はβバレルと呼ばれるバケツ状の構造(シアン)と2本のαヘリックスからなるフタの様な構造(黄色)を持つ分子量15 kDaの水溶性タンパク質である.βバレル内の大きな空間に約13分子の水(ピンクまたは赤の球)が存在し,その上に1分子の脂肪酸(緑の球棒モデル)が結合する.

本件に関する問い合わせ先

松岡 茂(まつおか しげる)
大阪大学大学院理学研究科 特任准教授
TEL  06-6850-5845  FAX 06-6850-6607
E-mail:matsuokas11@chem.sci.osaka-u.ac.jp

杉山 成(すぎやま しげる)
大阪大学大学院理学研究科 特任准教授
TEL  06-6879-7701  FAX 06-6879-7701
E-mail:sugiyama@chem.eng.osaka-u.ac.jp