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    地球近傍でO+が90%以上を占める極端状態と新たな供給メカニズムを発見
研究トピックス
2026/06/18 投稿

巨大磁気嵐が地球大気由来の酸素イオンを宇宙へ大量輸送
地球近傍でO+が90%以上を占める極端状態と新たな供給メカニズムを発見

九州大学国際宇宙惑星環境研究センター(i-SPES)の尾花由紀特任准教授、大阪大学大学院理学研究科の横田勝一郎准教授らの研究グループは、ニュージーランドを中心とした地上磁力計観測網と、JAXAのジオスペース探査衛星「あらせ」の観測データを組み合わせることで、2024年5月10–11日の巨大磁気嵐時に、地球近傍宇宙空間で酸素イオン(O+)が異常増加していたことを発見しました。
解析の結果、ニュージーランド上空の地球半径約2.2倍付近の宇宙空間において、プラズマ質量密度が約35,000 amu/cm3に達する極端な高密度状態が発生していたことが明らかになりました。さらに、「あらせ」衛星による電子密度観測と組み合わせた解析から、この領域では平均イオン質量が約15 amuに達しており、プラズマの90%以上が酸素イオンで占められていた可能性が示されました。
酸素イオンの増加は通常、磁気嵐回復相に地球半径3–5倍程度の比較的外側の領域で観測され、その割合も10–20%程度とされています。これに対し、今回は磁気嵐主相中に、地球半径約2.2倍の地球近傍でO+が90%以上を占める可能性が示され、従来想定されていなかった極端状態であることが分かりました。
さらに、「あらせ」衛星およびDMSP衛星の観測から、数keV程度の比較的エネルギーの高いイオンと冷たい高密度プラズマが共存していたことや、電離圏全電子数(TEC)の減少・電離圏電子温度の上昇も確認されました。これらの結果は、比較的エネルギーの高いイオンによる電子加熱を介して、電離圏から酸素イオンが効率的に供給されていた可能性を示しており、新たなO+供給メカニズムの存在を示唆しています。
今回の発見は、巨大磁気嵐時における地球周辺宇宙環境の理解を大きく前進させるとともに、人工衛星障害や高エネルギー粒子環境変動に関わる宇宙天気研究への貢献が期待されます。
本研究成果は、Springer Nature社刊行の国際学術誌『Earth, Planets and Space』に2026年5月23日(土)(現地時間)に掲載されました。

2024年5月巨大磁気嵐時に観測された内部磁気圏プラズマ質量密度の増加。ニュージーランド地上磁力計ネットワークの複数観測点ペア(MDM–EYR、EYR–WAI、WAI–OAK、OAK–DON)の解析結果を示す。2024年5月10日夜(世界時)に、地球近傍宇宙空間においてプラズマ質量密度が急増し、特にWAI–OAK観測点ペアでは約35,000 amu/cm³に達する極端な高密度状態が観測された。破線で囲った時間帯は、「あらせ」衛星による電子密度観測と組み合わせて平均イオン質量を推定した時間帯を示す。


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〈共同リリース機関HP〉

  • 九州大学
  • 東京大学
  • 名古屋大学
  • 京都大学
  • 金沢大学
  • 東北大学

 

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻
准教授 横田 勝一郎(よこた しょういちろう)
TEL:06-6850-5496
E-mail:yokota@ess.sci.osaka-u.ac.jp