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    水が引き起こすマントル最深部の地震波速度低下
研究トピックス
2024/10/16 投稿

地下2900kmで起こる水と鉄の反応が鍵!
水が引き起こすマントル最深部の地震波速度低下

大阪大学大学院理学研究科の西真之准教授、大学院生(研究当時)の河野克俊さんを中心とする研究グループは、大阪大学大学院理学研究科の近藤忠教授、高輝度光科学研究センターの柿澤翔テニュアトラック研究員、広島大学の井上徹教授、愛媛大学の桑原秀治講師との共同研究により、地球内部の水がマントル最深部の地震波の速度を低下させる新たなメカニズムを発見しました。

地球の中心部にある核(液体の鉄)とその外側のマントル(鉱物)が接する「核―マントル境界(深さ2900キロメートル)」には、地震波が極端に遅く伝わる「地震波超低速度領域(以下、低速度域)」と呼ばれる特殊な領域が存在します(図)。これまで、核からマントルに移動する鉄元素が、この速度低下を引き起こしているという説が提唱されていましたが、鉄元素がどのようにしてマントル内を移動するのか、そのメカニズムは大きな謎でした。

今回の研究では、地球内部の高温・高圧の環境を再現する実験により、水が鉄と反応することで新たな鉱物を作り出し、鉄元素がその鉱物内を高速で移動することを確認しました。これにより、マントルに水が存在することで低速度域の形成につながることが示唆されました。また、この領域の大きさを形成するには、約30京トンの水(地球全体の海水の約20%に相当)が必要であると推定されました。この発見は、地球表層の水がマントル、そして核にまで循環している可能性を強く示唆しており、地球の成り立ちや内部構造の理解に新たな視点を提供することが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」(オンライン)に、10月15日(火)18時(日本時間)に公開されました。

 

図:地球内部の断面図と地震波超低速度領域(低速度域)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 

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〈共同リリース機関HP〉 

本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
准教授 西 真之(にし まさゆき)
TEL:06-6850-5489
E-mail: nishimasa@ess.sci.osaka-u.ac.jp