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    ―さらに精緻な宇宙論パラメータ測定に期待―
研究トピックス
2024/10/04 投稿

ライマンアルファの森のバリオン音響振動(BAO)ピークシフトを高精度で検出
―さらに精緻な宇宙論パラメータ測定に期待―

大阪大学大学院理学研究科の長峯健太郎教授、奥裕理さん(研究当時:大学院生、現在:浙江大学(中国) 博士研究員)は、スペインのカナリアス宇宙研究所(IAC)、ラ・ラグーナ大学のフランシスコ・シュウ・キタウラ氏(Francisco-Shu Kitaura)、スイスのジュネーブ大学のフランチェスコ・シニガーリア氏(Francesco Sinigaglia)との共同研究により、宇宙論的シミュレーション(スーパーコンピュータを用いた数億光年にわたる大規模な領域の宇宙論的スケールにおける構造形成の進化に関するシミュレーション)を用いて、ライマンアルファの森の音響振動ピークのシフトを世界で初めて統計的に高い精度で発見しました。

この重要な発見は、宇宙論的流体力学シミュレーションに対して較正された解析的モデルを用いて生成された、1千個の「高速」宇宙論的シミュレーションからの予測値を平均化することによって達成されました。(図の概念図を参照)

本研究の主な結論は、BAOのピークにこれまで知られていなかった系統的なシフトがあることを発見し、今後の宇宙論研究でバイアスのない結果を得るためには、解析過程でこの効果を考慮する必要があるということを示したことです。これにより、ダークマターやダークエネルギーなどに関する宇宙論パラメータの解析と測定がさらに精確になることが期待されます。

本研究成果は、権威ある学術誌であるアストロフィジカルジャーナルレターズ(Astrophysical Journal Letters)に、2024年8月7日に出版されました。

 

図:いくつものBAOを重ね合わせて作成した概念図。ある特定のBAOピークスケールにおいて密度が高くなっている(明るい部分)ことがわかる。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

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本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
教授 長峯 健太郎(ながみね けんたろう)
TEL:06-6850-5481
E-mail: kn@astro-osaka.jp