大阪大学大学院理学研究科の橋爪章仁教授および産業科学研究所の原田明特任教授らの研究グループは、高吸水性ポリマーの球状マイクロ粒子に第三成分を添加することにより、相互作用の強さを変化させ、集合体の形状が制御できることを解明しました。
これは、相互作用残基として環状オリゴ糖(β-シクロデキストリン(β-CD))とアダマンタン(Ad)を導入した高吸水性ポリマーの球状マイクロ粒子(直径約100〜200 μm)が、第三成分の添加によって集合が促進され、集合体の形状が第三成分の添加量によって制御できることを示したものです(図1、図2)。
これまでに、研究グループでは、環状オリゴ糖(ホスト)と相互作用するゲストを導入したゲルを用い、分子認識の直接観察を実現していました。また、今回用いたものと同じ高吸水性ポリマーの球状マイクロ粒子を用い、集合体の形状が相互作用残基の導入量を調整することによって制御できることに成功していました (Itami, T. et al., Sci. Rep. 2022, 11, 6320)。しかし、巨視的集合体の形状を制御する他の要因については未解明でした。
今回の発見は、光やpH、温度など他の外部刺激によって集合体の形状が制御できることを示します。これにより、分子認識に基づく巨視的集合体である生物が多様な形状を示す起源の解明に繋がることが期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に、9月5日(木)18時(日本時間)に公開されました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科高分子科学専攻
教授 橋爪 章仁(はしづめ あきひと)
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