名古屋大学糖鎖生命コア研究所の中川 優 准教授、長崎大学高度感染症研究センターの安田 二朗 教授、木下 貴明 助教、櫻井 康晃 助教、広島大学の相田 美砂子 特命教授、赤瀬 大 助教、富山県立大学の五十嵐 康弘 教授、大阪大学大学院理学研究科の伊藤 幸成 特任教授らの研究グループは、放線菌が生産する天然物・プラディミシンAが新型コロナウイルスの表面に存在する糖鎖に結合してその感染を抑制することを新たに発見しました。
近年、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) の表面には多数の糖鎖が付加されていることが明らかにされています。本研究では、SARS-CoV-2が有する糖鎖にマンノースが多数含まれていることに着目し、マンノース結合活性を有するプラディミシンAがSARS-CoV-2の糖鎖に結合して細胞レベルでウイルス感染を抑制することを見出しました。さらに、プラディミシンAとウイルス糖鎖との結合メカニズムの概要も明らかにしました。糖鎖構造はウイルスの変異によって変化しにくいことから、これらの知見を基にして様々な変異株に有効な革新的抗SARS-CoV-2薬が開発されることが期待されます。
本研究成果は、2024年4月18日付化学誌「Bioorganic & Medicinal Chemistry」にオンラインで掲載されました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター
特任教授 伊藤 幸成(いとう ゆきしげ)
TEL: 06-6850-5383
E-mail: yukito@chem.sci.osaka-u.ac.jp