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研究トピックス
2024/06/04 投稿

世界初、クラウドサービス開始後の量子コンピュータの大規模利用実態調査―量子ビットの品質向上・賢いアプリケーション設計が大規模利用への鍵―

大阪大学大学院基礎工学研究科/量子情報・量子生命研究センター(QIQB)の藤井啓祐教授/副センター長らの研究グループは、量子コンピュータ実機利用論文を大規模に調査し、量子コンピュータのクラウドサービス開始以降の利用実態を世界で初めて明らかにし、調査結果を公開しました。

量子コンピュータは2016年のIBMによるクラウドサービスの開始や2019年のAmazon Braketによるサービスの提供以降、量子コンピュータを必ずしも専門としないユーザーでも一般に利用できる環境が急速に広がりました。それ以前の一部の量子コンピュータ開発者の実験の対象から、他の分野の研究者や一般のユーザーが利用できる計算資源として普及しつつあります。一方で、この変化以降の量子コンピュータの利用実態は定量的には捉えられていませんでした。

今回、藤井教授らの研究グループは、プレプリント投稿サイトarXivから2016年1月1日から2022年12月31日までに投稿されたプレプリントのうち、量子コンピュータベンダー5社(Google・IBM・IonQ・Quantinuum・Rigetti)の量子コンピュータ実機を使った768報を抽出し、アプリケーションの種類や実際に利用した量子ビット数などの情報を集計することにより、量子コンピュータの利用実態を定量的に明らかにしました。本調査で明らかになった、多くの量子ビットを用いたアプリケーションの傾向などから、今後の量子コンピュータの利用の大規模化への指針が明確になることが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Reviews Physics」に、6月1日(土)午前0時(日本時間)に公開されました。

 

図. (左)量子コンピュータを実際に利用したプレプリントの数の年次推移。
   (右)各年での実際に利用された量子ビット数の分布の年次推移(白丸:平均値、ボックス内の横線:中央値)。

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本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科物理学専攻 凝縮系量子計算グループ
准教授 竹森 那由多 (たけもり なゆた) 
TEL: 06-6850-5350 
E-mail: nayuta.takemori.sci@osaka-u.ac.jp