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研究トピックス
2023/05/08 投稿

光を当てると融けて光る結晶を発見―有機結晶の融解メカニズムを解明―

 大阪大学大学院理学研究科の大学院生の小村真央さん(博士後期課程3年)、小川琢治教授(当時)、谷洋介助教らの研究グループは、基礎工学研究科の五月女光助教、宮坂博教授(当時)と共同で、光を当てると時々刻々と発光色と強度を変えながら融解する有機結晶を世界で初めて見出しました(図)。その発光挙動の変化から、結晶中で分子がどのように動いて融解に至るかを明らかにしました。
 融解の様子を収めた動画はこちら:https://youtu.be/-atobxlggBk  https://youtu.be/EfO-hi7ZVa4
 温度上昇(加熱)による融解では結晶全体がエネルギーを得るのに対し、光による融解(光融解)では、光を吸収した分子だけが高エネルギー状態になるため、その融解メカニズムは各地で研究されています。光融解する有機結晶はこれまでにも報告されていましたが、そのほとんどは発光せず、結晶がどのように融けていくのかは解明されていませんでした。
 今回、研究グループは、独自に開発したりん光を示す分子の結晶が光融解することを見出し、その際の光り方の変化を詳細に調べました。この分子のりん光は立体配座によって大きく変わる特徴があり、それを利用して、分子の立体配座が自己触媒的に変化して融解に至るという光融解メカニズムを解明しました。これにより光融解機能の分子設計の可能性が広がり、光の高い空間分解能を利用した様々な光応答材料の開発が期待されます。
 本研究成果は、英国王立化学会の「Chemical Science」に、5月4日(木)17時(日本時間)に公開されました。

図. 光照射によって有機結晶が融解していく様子。

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本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科化学専攻
助教 谷 洋介(たに ようすけ)
TEL: 06-6850-5393 
E-mail: y-tani@chem.sci.osaka-u.ac.jp