大阪大学大学院理学研究科の高田忍 助教、 飯田浩行さん(研究当時:理学研究科博士後期課程)、ヘルシンキ大学、テュービンゲン大学の国際共同研究グループは、植物細胞が最外層に位置することを認識して表皮になるしくみを世界で初めて明らかにしました。
多くの植物は、葉や茎などの器官の表面に「一層だけ」表皮細胞層を作ります。器官表面の細胞が分裂して、表面に位置しなくなった娘細胞は表皮運命を維持できません。このことから、植物細胞は植物体内における自分の位置を知っていて、器官の表面に位置する細胞だけが表皮細胞になることが、45年以上前から予想されていました。しかし、植物細胞が最外層の位置を認識するしくみは、長い間未解明のままでした。
今回、研究グループは、葉の内側に位置する葉肉細胞を表面に露出させることで、葉肉細胞が表皮細胞へと変化することを発見し、最外層の位置に応じた表皮形成のしくみの一端を解明しました。表皮除去実験により、植物細胞は「圧迫」という「力」を認識して、葉肉細胞になるか、表皮細胞になるかを決めている可能性が示唆されました(図)。本研究成果は、2023年2月23日に、英国の総合科学誌「Nature Communications」に公開されました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻
助教 高田 忍(たかだ しのぶ)
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