大阪大学大学院理学研究科の梅川雄一助教と山本智也特任研究員(現・理化学研究所基礎科学特別研究員)らは、岡山大学異分野基礎科学研究所の篠田渉教授らとの共同研究により、抗生物質であるアムホテリシンB(AmB、図)が真菌の細胞膜で形成するイオンチャンネル複合体の構造を明らかにしました。
この化合物は優れた抗真菌活性をもつことから、頼りになる医薬品として長年使われています。最近の例では、インドで多くの新型コロナウイルス感染者に認められた致死性のムコール症を治療するために広く用いられました。
強い抗真菌作用の一方で、腎毒性などの強い副作用を併発することが長年問題視されてきました。この問題の解決には、AmBの活性発現のメカニズムを明らかにすることが必要です。今回、共同研究グループは、有機合成化学と固体NMR測定、分子動力学計算を組み合わせることで、真菌の細胞膜を模倣した環境でAmBが形成するイオンチャネル構造を明らかにしました。この成果によって、この古いがよく効く医薬品を、新しい薬として蘇らせることができると期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Science Advances」に掲載されるに先立ち、6月18日(土)付けでオンライン版として公開されました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科化学専攻
助教 梅川 雄一(うめがわ ゆういち)
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