1. HOME >
  2. 研究トピックス >
  3. 10万時間を数秒に!
    宇宙の物質分布を高速計算する新アルゴリズムを開発
    ―機械学習的手法が革新する宇宙物理学―
研究トピックス
2022/05/30 投稿

10万時間を数秒に!
宇宙の物質分布を高速計算する新アルゴリズムを開発
―機械学習的手法が革新する宇宙物理学―

 大阪大学大学院理学研究科の長峯健太郎教授らの研究グループは、スペインのカナリアス天体物理学研究所(IAC)との共同研究により、10万時間に及ぶ宇宙論的シミュレーションから得られた銀河間物質のガス分布(特に中性水素)を、機械学習技術によって数秒で再現できる新しい数値計算手法を開発することに成功しました。
 これまで宇宙の物質分布を正確に再現するためには、非常に大規模で時間のかかる宇宙論的流体力学シミュレーションをスーパーコンピュータ上で実行する必要があったため、より高速かつ効率的な計算手法が求められていました。
 今回、長峯教授とIACの研究グループは、宇宙の大規模構造を構成する成分である暗黒物質、電離ガス、中性水素の階層的な関係を利用し、さらに機械学習の手法を利用することで計算を高速化することに成功し、Hydro-BAMと呼ばれるアルゴリズムを開発することに成功しました。これにより、宇宙の物質分布のさらに精確な理解が進むことが期待されます。
 また、遠方銀河やクエーサーのスペクトルに見られる「ライマンアルファの森」と呼ばれる吸収線のパターンを高精度に再現することに成功しました。この森を解析することは、宇宙全体の理解を進める上で重要なことです。本研究成果は、米国科学誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に、2021年11月と2022年3月に2本の論文として掲載されました。

図.
宇宙のダークマター、電離ガス、中性水素の分布などの階層的分布を利用してライマンアルファの森の観測データを再現する様子。

Related links

本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
教授 長峯 健太郎(ながみね けんたろう)
TEL:06-6850-5481 FAX: 06-6850-5480
E-mail: kn@astro-osaka-u.jp