この世は謎に満ちています。私達は、なぜ今ここにこうしているのか、それを知りたいと思いませんか。この世(宇宙)の始まりやこの世の果てを知りたい、この世を形づくっている物の起源を知りたい、私たちの体がどういう仕組みで動いているのか、つまり私たちがなぜ生きているのかを知りたい、いろいろな物質の不思議な性質の仕組みを知りたい・・・。理学の研究は、そんな素朴な疑問や興味から出発した研究です。その成果の一部を、多くの方に紹介し、少しでも“おもしろい!”という気持ちを共有していただけたら、と思ってこのイベントを計画しました。どうか、ひとときの科学の夕べをお楽しみいただければ、と思います。
【概要】
第1回 5/15(水)実験室で創る地球惑星
近藤 忠 教授(宇宙地球科学専攻)
地球や惑星・衛星の形成過程にはまだよく分かっていないことがたくさんあります。小天体が衝突する成長過程では、物質の破壊や変成が繰り返され、惑星規模に成長した天体内部では、層形成や金属核の分離などの大規模な分化が発生します。それぞれが大変興味ある現象ですが、実際に見ることができません。そこで我々は実験室に各現象に相当する極端条件を生成し、その環境下における物質の挙動を調べています。本講義では最新の研究結果から見えてきた地球観を紹介します。
第2回 6/19(水)金属と生命
舩橋 靖博 教授(化学専攻)
からだのなかに、微量ながら必要な金属などの元素があります。金属は生命誕生のときから生物に利用され、生物が生きて子孫を残すために必要です。なぜ生命は金属を必要とするのか。そこでどれほどの役に立つのか。その原理は何か。本講演では、過去・現在・未来に亘って、これらに関連することをできる限りお話しします。
第3回 7/17(水)セロハンテープで挑む最先端の物理
新見 康洋 教授(物理専攻)
黒鉛は、炭素のみで構成される蜂の巣状の2次元シートが層状に積み重なった物質で、16世紀に発見されました。これを原子1層だけにできたのは、実は21世紀に入ってからです。しかもその方法はセロハンテープを用いて黒鉛を剥ぐだけ、というとても原始的なやり方で、この研究は2010年ノーベル物理学賞の受賞対象になりました。黒鉛以外にもセロハンテープで剥げる物質はたくさんあります。この講演では、我々が最近行っている研究を簡単にご紹介するとともに、私の究極の目標についてお話します。
第4回 10/16(水)生命の起源に迫る?ホルムアルデヒドからの糖合成
橋爪 章仁 教授(高分子科学専攻)
糖は核酸の原料の一つで、生命にとって必要不可欠な化合物です。生命が発生する前には、糖(一般の分子式 (CH2O)n)は、複数のホルムアルデヒド分子 (CH2O) が結合することによって形成したと考えられていますが、その詳細は未解明です。最近、私たちはマイクロ波を用いてホルムアルデヒドから高速に特定の糖を合成できることを報告しました。本講演では、生命の起源の解明やカーボンニュートラルへの貢献が期待される、ホルムアルデヒドからの糖の合成に関する最近の研究を紹介します。
第5回 11/20(水)輸送とロジスティクスの生物学
昆 隆英 教授(生物科学専攻)
私たちの体を構成する数十兆個の細胞の内部では、必要な物質を必要な場所に必要なタイミングで運ぶ宅配便が働いています。その役割は欠くことのできないもので、輸送システムに少しでも異常が生じると様々な病気につながると考えられています。私たちは、この重要な細胞内宅配便の働く仕組みを分子・原子レベルで解明したいと考え、日々研究をおこなっています。本講義ではその一端を、生化学・構造生物学・生物物理学・細胞生物学といった基礎生物学の観点から紹介します。
第6回 12/18(水)非線形な微分方程式
戍亥 隆恭 准教授(数学専攻)
微分方程式とは未知関数の微分を含む式のことです。物理現象を記述するモデルとして多くの微分方程式が考え出されました。それらのモデルでは非線形な方程式も多く使われています。線形とは線のように比例するという意味で、非線形とはそうでないもののことを言います。非線形な微分方程式は数学的にも面白い魅力を持っています。この講演ではその面白さの一端を、最近の研究を紹介しつつお伝えできればと思っています。
【対象者】
一般の方(社会人、学生、興味をお持ちの方はどなたでも)
【開催形式】
以下A、Bの2通りの形式で開催しますが、受講できるのはいずれか一方のみとなります。
受講申込の際に選択してください。
A.会場:大阪大学(豊中キャンパス)理学J棟2階 南部陽一郎ホール
★講義資料は、印刷したものを会場で配布します。
B.後日録画限定配信:会場開催の様子を録画した映像を後日配信
★ライブ配信ではありません。会場開催の翌週、ご登録いただいたメールアドレスに配信URLと講義資料(PDF)ダウンロード用URLをお送りします。
※やむを得ない事情により、開催形式を変更もしくは開催を中止する場合があります。
※お車でのご来場はお断りいたします。
【開催時間・期間】
A.会場:18:00~19:30
B.後日録画限定配信:1週間
【定員】
A.会場:各回100名
B.後日録画限定配信:定員なし
【受講料】
全6講義すべて受講 6,600円
1講義~数講義を選択受講 1,600円(1講義当たり)
【申込方法】
サイエンスナイトWebサイトの申込フォームからお申し込みください。
(サイエンスナイトWebサイト)
https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/science-night/