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    ~脂質分子種レベルでの生体分布解析を可能に~
研究トピックス
2026/04/17 投稿

リン脂質sn位置異性体の高分離解析により脳内分布を可視化
~脂質分子種レベルでの生体分布解析を可能に~

東京海洋大学の学術研究院食品生産科学部門の田中誠也助教、後藤直宏教授らは、魚に豊富に含まれ、脳機能に深く関連するドコサヘキサエン酸(DHA)を結合したリン脂質sn位置異性体のマウス脳内局在場所を世界で初めて可視化することに成功しました。

リン脂質には、同じ化学組成でありながら分子の構造がわずかに異なる「異性体」が存在します。しかし、これらの異性体を区別して観察することは従来の脂質イメージング(脂質の可視化法)では困難でした。

本研究グループは、サイクリックイオンモビリティー‐質量分析イメージングという分析装置を用いて、通常では分離することが難しいリン脂質sn位置異性体を、装置内でイオンを30周させることで分離することに成功し、脳中リン脂質sn位置異性体分布を可視化しました。その結果、脳のみに特異的に存在する、DHAがリン脂質中のsn-1という位置に結合したリン脂質sn位置異性体が、脳内の聴覚に関わる場所に集まって存在していることを初めて明らかにしました。

本手法は、sn位置異性体を含む多様な分子の精密解析を可能にし、DHAの脳内動態解明をはじめとする生命科学研究の進展に貢献することが期待されます。

本研究は、日本ウォーターズ株式会社 川瀬泰司氏、パクストン・タナイ氏、廣瀬賢治氏、福島大学農学群食農学類 吉永和明准教授、桐明絢研究員、中部大学応用生物学部 岩崎雄吾教授、大阪大学大学院理学研究科 益田勝吉特任教授(常勤)と共同で行いました。

本研究成果は、2026年3月9日(米国東部時間)にAmerican Chemical Society(ACS)科学誌「Analytical Chemistry」のオンライン版で公開され、3月31日に出版されました。また本論文のインパクトの大きさが評価され、Supplementary Cover Artに選ばれました。

元々マウスが持つ脳内のPC(22:6/16:0)とPC(16:0/22:6)の分布

 

 

 

 

 

 

 

 
 

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〈共同リリース機関HP〉

  • 東京海洋大学
  • 日本ウォーターズ
  • 福島大学
  • 中部大学

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター 
特任教授(常勤) 益田 勝吉(ますだ かつよし)
TEL: 06-6850-8461
E-mail: masuda.katsuyoshi.sci@osaka-u.ac.jp