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    ―断層粒子のやわらかさと流体のながれが地震の質を変える?―
研究トピックス
2025/12/02 投稿

液面に浮かべたゲル粒子でスロー地震を再現
―断層粒子のやわらかさと流体のながれが地震の質を変える?―

大阪大学大学院理学研究科の佐々木勇人さん(博士後期課程2年)と桂木洋光教授の研究グループは、スロー地震が示す複数の統計的な特徴が流体と柔らかい粒子の混合体によって生み出されうることを世界で初めて明らかにしました。
これまでスロー地震を再現した実験的研究は、地震を引き起こす断層すべりの「ゆっくりさ」に注目しているものがほとんどでした。一方で、スロー地震が通常の地震とは異なるとされる顕著な点はむしろ、地震観測に基づく統計的な特徴です。しかし、スロー地震の統計的な特徴については、実験によってほとんど再現・解明されていませんでした。
今回、研究グループは、身近な材料であるやわらかいゲル粒子を液面に浮かべた層を断層に見立てて、すべり実験を行うことにより、地中深くで起こるスロー地震と同様の統計性が再現されることを発見しました。これにより、スロー地震と通常の地震との間の関係性について理解が進むとともに、スロー地震の性質を利用した断層帯の監視方法の研究などにつながっていくことが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、12月1日(月)(日本時間)に公開されました。
タイトル:“Origin of slow earthquake statistics in low-friction soft granular shear”
著者名:Yuto Sasaki and Hiroaki Katsuragi
DOI:https://www.doi.org/10.1038/s41467-025-65230-z

日本列島の断面図とスロー地震の発生域

 
 

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本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科
佐々木 勇人(ささき ゆうと)
TEL: 06-6850-5499
E-mail: yuto.sasaki@ess.sci.osaka-u.ac.jp