大阪大学大学院理学研究科/北海道大学大学院情報科学研究院の赤井恵教授、北海道大学大学院情報科学院の萩原成基さん(博士後期課程)らの研究グループは、溶液中で電極に電圧を加えると重合成長する導電性ポリマーの分子細線が立体配線材料として利用でき、さらにこれを用いて脳のように学習可能な脳型コンピュータを実現し得ることを世界で初めて明らかにしました。まるで脳が成長するかのように、溶液中で分子細線が伸長・配線されることで回路が学習し、その結果得られたネットワークに連想記憶を付与することにも成功しました。
これまで導電性ポリマー細線は2次元平面上での配線しか実現されておらず、3次元配線性能については明らかにされていませんでした。
今回研究グループは、既存の微細加工技術を用いて先端が鋭利な立体電極を作製しました。これを避雷針に見立てて電界を先端に集中させることにより、導電性ポリマー細線が3次元的に成長可能であることを実証しました。これにより、脳のように密な3次元ネットワーク構造を持った次世代脳型コンピュータの実現が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Advanced Functional Materials」に、7月1日(土)1時(日本時間)
に公開されました。
本件に関する問い合わせ先
大阪大学大学院理学研究科化学専攻
教授 赤井 恵(あかい めぐみ)
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