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研究トピックス
2016/11/12 投稿

極性構造歪みの制御を通じた熱電変換効率の向上に成功 ― 新原理の熱電変換材料へ道 ―

大阪大学大学院理学研究科 酒井英明准教授(JST さきがけ研究者兼任, 研究当時:東京大学大学院工学系研究科 助教)、東京大学大学院工学系研究科 石渡晋太郎准教授(JSTさきがけ研究者兼任)、同研究科 池浦晃至元大学院生らの研究グループは、強誘電体と同様な構造転移を室温近傍で示す珍しい導電性化合物を発見し、この転移を元素置換により大幅に(絶対温度約250度から0度まで)制御できることを、電気特性および光学スペクトルにより明らかにしました。また、わずかな元素置換によってこの「強誘電体」的転移を極低温まで抑制すると、熱を電気に変換する効率(熱電能)が著しく増大することを発見しました(図カラーマップ参照)。この振る舞いは、バンド構造のみを考慮した理論計算では再現できないことから、「強誘電体」的構造歪みに起因する結晶格子の揺らぎや不均一性が、金属特性に劇的な影響を与え得ることを示唆する結果だと言えます。今後は、このメカニズムを指導原理とする革新的な熱電変換技術への応用も期待できます。

本研究成果は、Science Advances 誌(日本時間11月12日(土)午前4時)に掲載されました。

20161112

<テルル化モリブデン1T’-MoTe2における、モリブデンをニオブで部分置換した効果>

本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科 物理学専攻
准教授 酒井 英明(さかい ひであき)
E-mail:sakai@phys.sci.osaka-u.ac.jp