図. コレラ菌の生活環,及び人体内で胆汁に誘引されるコレラ菌の概念図
コレラ菌は河川や汽水域といった外界(低温・貧栄養)と人体内(高温・富栄養)という異なった環境を循環していると考えられています。ひとたび人体に入り込むと腸内に定着し,コレラ毒素をはじめとした様々な病原因子を作りはじめます。本研究によりコレラ菌が胆汁成分中のタウリンに引き寄せられることが明らかになりました。
大阪大学大学院理学研究科の今田勝巳教授・高橋洋平大学院生、法政大学生命科学部の川岸郁朗教授・西山宗一郎博士・山本健太郎大学院生、名古屋大学大学院理学研究科の本間道夫教授らの共同研究グループは、タウリンにコレラ菌を誘引する作用があることを発見し、そのしくみを原子レベルで明らかにしました。タウリンを認識していたのは様々なアミノ酸を認識するMlp37という蛋白質でした。X線構造解析から認識のしくみが明らかになり、蛍光分子を使ってMlp37が誘引物質を認識する様子を捉えることにも成功しました。
本研究成果により、これまで誘引物質や忌避物質が結合したときの細菌の行動を直接観察することはできませんでしたが、蛍光による直接観察が可能になり、コレラ菌の行動や制御の研究が格段に進むと期待できます。また、副作用が少なく耐性菌のできにくい新しいコンセプトの薬剤開発につながる成果でもあります。
本研究成果は英科学誌Natureの姉妹誌「Scientific Reports」の電子版で2016年2月16日10時(英国時間)に公開されました。
図. コレラ菌の生活環,及び人体内で胆汁に誘引されるコレラ菌の概念図
コレラ菌は河川や汽水域といった外界(低温・貧栄養)と人体内(高温・富栄養)という異なった環境を循環していると考えられています。ひとたび人体に入り込むと腸内に定着し,コレラ毒素をはじめとした様々な病原因子を作りはじめます。本研究によりコレラ菌が胆汁成分中のタウリンに引き寄せられることが明らかになりました。
大阪大学 大学院理学研究科 教授
今田 勝巳(いまだ かつみ)
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