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研究トピックス
2015/11/06 投稿

スピン流を用いて磁気の揺らぎを高感度に検出することに成功 ―スピン流を用いた高感度磁気センサへ道―

電子は電荷とスピンという2つの属性を持ちます。通常のエレクトロニクス素子では電荷のみの性質を利用しますが、近年注目を集めているスピントロニクス素子ではスピンに依存した電子の伝導が重要な役割を果たします。その中でも、電荷の動きを伴わないスピンのみの流れを「純スピン流」と呼び、低消費電力素子へ応用が期待されています。

大阪大学理学研究科 新見 康洋 准教授(研究当時、東京大学物性研究所助教)、東京大学物性研究所 大谷 義近 教授、日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 前川 禎通 センター長らの研究グループは、磁気の乱れが強い「スピングラス」と呼ばれる状態に、純スピン流を注入することで、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いた磁化測定では観測できなかった磁気の揺らぎを高感度に検出することに成功しました。この技術を応用することで、将来的に純スピン流を用いた高感度磁気センサへの道が開けると期待されます。

本研究成果は、『Physical Review Letters』(11月6日付)に掲載されました。

research20151106

図:純スピン流の概念図。スピンアップとスピンダウンの電子が同数個だけ、逆方向に流れている場合、電荷の流れICは相殺されてゼロとなるが、スピンの流れISはゼロにはならない。これを純スピン流と呼ぶ。

本件に関する問い合わせ先

大阪大学大学院理学研究科
准教授 新見 康洋(にいみ やすひろ)
Tel: 06-6850-5586 Fax: 06-6850-5372
e-mail: niimi@phys.sci.osaka-u.ac.jp