(2025.10.03 情報更新)講演要旨を掲載しました。
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大阪大学理学研究科では実にさまざまな研究が行われています。本イベントで、その広がりを感じてみませんか?
理学研究フォーラム/研究交流セミナーは、企業-大学間および学内の交流を増やし、新しいアイデアとイノベーションを生み出すことを目指して定期的に開催されてきたセミナーです。今年度は2025年11月4日(火)に開催します。講演会に加え、ポスター発表会とランチョン交流会も行います。皆様、お気軽にご参加ください。
講演会では、研究科内の3名の講演者に加え、NTT先端集積デバイス研究所の橋本俊和博士から、光ファイバの技術が切り拓く新しい研究に関する話題を提供していただきます。また、ランチョン交流会を兼ねたポスター発表会では、軽食をとりながら、各専攻・センターの選りすぐりの研究についてフリーディスカッションを行います。
本企画はどなたでも参加できます。
ご参加にあたっては、こちらの登録フォームより参加登録をお願いします。
(10月29日(水)締切)
参加費は無料です。
<イベント概要>
第15回 理学研究フォーラム/第14回 研究交流セミナー
日時:2025年11月4日(火)午前10時00分より
場所:理学研究科J棟2階南部陽一郎ホール
(参考:豊中キャンパスマップ・理学研究科マップ)
対象:教職員、学生、企業関係者、一般の方
主催:大阪大学大学院理学研究科 研究企画推進部
プログラム
10:00– 開会挨拶 近藤 忠(理学研究科長)
10:05– 「長い分子が溶液中で紡ぎだす様々な構造体」
寺尾 憲(高分子科学専攻)
10:50– 「ガラスは光をとおすだけ?-光回路が拓く新しい応用と可能性-」
橋本 俊和(NTT先端集積デバイス研究所)
11:45– ポスター発表/ランチョン交流会
13:30– 「確率分布の形状」
佐久間 紀佳(数学専攻)
14:15– 「細胞の運命を操作し、植物の生き様を理解する」
近藤 侑貴(生物科学専攻)
15:00– 閉会
講演要旨
1.「長い分子が溶液中で紡ぎだす様々な構造体」
寺尾 憲(高分子科学専攻)
非常に多くの共有結合を1分子中に含む高分子は、ほぼ無限といってよいほど多様な分子形態をとることができます。良く溶ける溶媒中では、もつれた糸玉のような不定形の形態となることが多いですが、溶媒や高分子自体の化学構造に少し工夫を加えると、ミセル、ナノ粒子、液晶など、秩序だった多様な構造体を形成することが可能です。本講義では、まず溶液中における高分子の挙動について説明した後、私たちの研究室で発見した、高分子が溶液中で形成するさまざまな構造体についてご紹介します。
2.「ガラスは光をとおすだけ?-光回路が拓く新しい応用と可能性-」
橋本 俊和(NTT先端集積デバイス研究所)
通信に不可欠な光ファイバは、屈折率の異なるガラスで光を閉じ込め、遠方まで信号を伝える技術として発展してきました。その原理をシリコン基板上に微細加工で実現した光回路は、通信分野で広く活用されています。近年、こうした光回路を通信以外に応用する動きが進んでいます。ガラス材料の特性を活かした広帯域・安定な干渉計は基礎研究にも利用され始め、また光回路設計を「逆問題」として捉えると、大規模最適化や深層学習を取り込む新しい研究の可能性も見えてきます。
本講演では、具体的な事例を交えつつ、光回路が切り開く新しい研究と応用の展望をご紹介し、皆さまと議論を深めたいと思います。
3.「確率分布の形状」
佐久間 紀佳(数学専攻)
確率論において研究される最も基本的な対象の一つとして確率分布と呼ばれる概念があります。確率分布はものごとの散らばり方を表現します。その由来や数理はコイン投げやサイコロ投げのような非常に初等的な話から数学的に高度に抽象的な話で興味を持たれたもの、物理的に背景があるものなどさまざまな個性を持ちます。確率分布を深く研究することは統計学をはじめとした諸科学の発展に欠かせません。今回はいくつかの確率分布やその問題をお話ししたいと思っています。
4.「細胞の運命を操作し、植物の生き様を理解する」
近藤 侑貴(生物科学専攻)
動物とは異なり、動かない植物は過酷な環境から逃げ出すことはできません。植物は絶えず変動する環境に適応するため、葉や根などの器官間で情報分子を輸送してコミュニケーションを図っています。このような植物の生き様を理解するため、私は植物幹細胞の運命操作技術を確立し、それらを活用することで、情報分子の輸送を担う“維管束”の形成と機能の解明にむけた研究をおこなっています。最近では、開発した幹細胞制御技術をバイオものづくりやSDGsにも応用する取り組みを始めました。本講演ではこれらのアプローチについてもあわせて紹介したいと思います。
※ポスター発表リストは後日公開します。
チラシPDFファイルはこちら(以下の画像と同内容です)