(2024.9.25情報更新)講演要旨を掲載しました。
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大阪大学理学研究科では実にさまざまな研究が行われています。本イベントで、その広がりを感じてみませんか?
理学研究フォーラム/研究交流セミナーは、企業-大学間および学内の交流を増やし、新しいアイデアとイノベーションを生み出すことを目指して定期的に開催されてきたセミナーです。今年度は2024年11月5日(火)に開催します。講演会に加え、ポスター発表会とランチョン交流会も行います。皆様、お気軽にご参加ください。
講演会では、研究科内の3名の講演者に加え、アステラス製薬株式会社の小松秀俊博士から、ベンチャー企業と破壊的なイノベーションに関する話題を提供していただきます。また、ランチョン交流会を兼ねたポスター発表会では、軽食をとりながら、各専攻・センターの選りすぐりの研究についてフリーディスカッションを行います。
本企画はどなたでも参加できます。
ご参加にあたっては、こちらの登録フォームより参加登録をお願いします。
参加費は無料です。(10月30日(水)締切)
プログラム
10:00– 開会挨拶 水谷 泰久(副研究科長)
10:05– 「高温超伝導発見の今昔とさらなる高温への夢」
黒木 和彦(物理学専攻)
10:50– 「ぼくらはみんな生きている − 生き物はすべからくヒーターだ −」
中野 元裕(熱・エントロピー科学研究センター)
11:45– ポスター発表/ランチョン交流会
13:30– 「金属錯体を使った『隙間』の化学」
吉成 信人(化学専攻)
14:15– 「バイオベンチャーと破壊的イノベーション」
小松 秀俊(アステラス製薬株式会社)
15:00– 閉会
講演要旨
1.「高温超伝導発見の今昔とさらなる高温への夢」
黒木 和彦(物理学専攻)
低い温度において物質の電気抵抗が消失する超伝導現象は、その極めて特異な性質により研究者たちを魅了してきました。一つの大きな興味の方向性は、高い温度(究極的には室温)での超伝導の実現です。特に、1986年に銅酸化物高温超伝導体が発見され、超伝導転移温度が液体窒素温度77Kを超えるに至ったときは、最初の発見者たちは翌1987年にはノーベル賞を受賞するなど、異例ともいえる状況が起こりました。その後も、通常の超伝導体よりも高い温度で超伝導になる物質が発見されるたびに、世界中が沸き立ちます。講演では、高温超伝導発見の経緯における昔と今を比較し、将来のさらなる高温での超伝導実現に向けた可能性についても論じます。
2.「ぼくらはみんな生きている ー 生き物はすべからくヒーターだ ー」
中野 元裕(熱・エントロピー科学研究センター)
「手のひらを太陽に」の二番の歌詞は「トンボだってカエルだって…」ですが、今回はアフリカツメガエルとショウジョウバエの、どちらも受精卵1個が卵割し、育っていく「発生過程」の生物熱力学から話をスタートします。生物は生きている限り常に発熱している「ヒーター」ですが、各個体の発熱量を長時間にわたってモニターすることによって、本当に様々なイベントが見えてきます。さらに、個体の主観的時間を停止する「ガラス転移」の紹介をはさんで、お米1粒の発芽過程も紹介します。
3.「金属錯体を使った『隙間』の化学」
吉成 信人(化学専攻)
原子やイオンのような剛体球を3次元空間に詰め込む場合、どれだけ密に詰め込んでも空間の26%以上が隙間となることが知られています。原子と原子の隙間には、水素やリチウムなどの小さい原子を導入することができ、水素吸蔵合金やリチウムイオン電池に応用されています。私たちは、原子よりも大きな球からなる隙間はどんな性質を持つのだろう?という疑問に答えるために、球形に近い多核金属錯体の合成とその固体構造について研究してきました。本講演では、球状金属錯体の合成アプローチとその固体が示す性質について紹介したいと思います。
4.「バイオベンチャーと破壊的イノベーション」
小松 秀俊(アステラス製薬株式会社)
Google、Amazonなどのベンチャー企業が破壊的なイノベーションをもたらしているのを、私達は目の当たりにしています。同様に製薬業界においても、近年、バイオベンチャーが画期的な新薬の大部分を創生しています。本講演では、最先端の創薬研究の紹介のみならず、本大学ベンチャーキャピタル時代に従事した「バイオベンチャー」および新規事業の設立の事例を挙げながら、産学連携のベンチャーエコシステムの考察をしてみたいと思います。
※ポスター発表リストは後日公開します。
ポスターPDFファイルはこちら(以下の画像と同内容です)