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研究トピックス
2018/07/12 投稿

世界初!テロメアによるDNA複製の四次元的制御を解明―未解明の遺伝病原因解明に期待―

大阪大学大学院理学研究科の小川志帆特任研究員と升方久夫教授(現:名誉教授)らの研究グループは、染色体末端テロメアに結合するタンパク質群が、染色体内部の複製開始点をテロメアに引き寄せるしくみを使って複製開始時期を制御することを世界で初めて明らかにしました。
テロメアは、細胞分裂の度に短くなり、しまいには細胞死を引き起こし、細胞老化や細胞寿命に関わります。いっぽうテロメアを伸長させる酵素の高発現は細胞を不死化しガン化要因となることが知られています。またテロメアは近くの遺伝子の発現を抑制しており、このしくみの破綻が筋ジストロフィーの要因になることが知られています。このため、テロメアに結合するタンパク質群は細胞増殖のみならず遺伝疾患の発症やガン化抑制にも重要な役割を担っています。
今回、升方教授らの研究グループは、分裂酵母の特定の染色体領域を可視化する技術(図1)を用いて、テロメアに結合するタンパク質が、染色体内部の複製開始点をテロメアに引き寄せ、複製開始タイミングを制御するという新事実を発見しました。
この発見は、遺伝情報継承の基本反応であるDNA複製の理解を大きく進歩させるとともに、テロメアと染色体内部のコミュニケーションのしくみが解明されたことにより、今後、テロメアによって遠隔制御される疾患原因遺伝子の発見につながることが期待されます。
本研究成果は、欧州科学誌「EMBO Journal」電子版に、7月11日(水)午後7時(日本時間)に公開されます。

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科
名誉教授 升方 久夫(ますかた ひさお)
TEL:06-6850-5431 FAX: 06-6850-6769
E-mail: masukata@bio.sci.osaka-u.ac.jp