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研究トピックス
2018/07/09 投稿

従来と全く異なる方法でグラフェンによる「ディラック準結晶」を実現―結晶にはない新しい性質の開拓へ―

大阪大学大学院理学研究科の越野幹人教授と、J.R.Ahn(成均館大学)、P.Moon(ニューヨーク大学上海)、P. Kim(ハーバード大学)、Y.W. Son(韓国高等科学院)らによる研究グループは、2枚のグラフェンを30度の角度で重ねた薄膜を合成することで、ディラック電子による準結晶を実現することに世界で初めて成功しました。
準結晶とは、結晶ともアモルファスとも異なる固体の第3の形態で、原子が特殊な規則で配列した物質です。今回、特別な合成方法でグラフェン2枚が互いに30度で重なった系を生成することで、炭素のみからなる準結晶を実現することに成功しました(図1)。グラフェンの中の電子は、相対論的ディラック粒子とよばれる、質量のない特殊な粒子として振る舞うことが知られており、今回実現されたグラフェン準結晶は「ディラック準結晶」とも言うべき新しい物理系といえます。従来の準結晶と異なり、2次元物質を特定の角度で重ねるという従来と全く異なる方法で実現されており、準結晶のパラダイムを爆発的に広げる可能性があります。これにより準結晶の物性研究が進み、普通の結晶にはないような新しい性質が見つかることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Science」(オンライン)に、2018年6月28日に公開されました。

本件に関する問い合わせ先

大阪大学 大学院理学研究科
教授 越野 幹人(こしの みきと)
TEL:06- 6850-5742
E-mail: koshino@phys.sci.osaka-u.ac.jp